只見ユネスコエコパーク推進協議会

只見ユネスコエコパークについて

只見ユネスコエコパーク内の住民の生活・文化

歴史的に見て、只見地域に住む住民の生活を支えてきたのは、農業(カノと呼ばれる焼畑を含む)を基盤としながら、地域の豊かな自然資源を拠り所とする狩猟、採取、漁労でした。こうした生活は、明治以降の近代化の中でも、色濃く引き継がれ、今日もその一部は只見ユネスコエコパーク域内住民の重要な生活様式として根付いています。すなわち、自然と人間との調和の取れた関係が、今なおこの地域社会の底流に存在し、持続可能な地域社会を実現していると言うことができます。具体的には、以下のように多雪環境に適応した特有の生活・文化があります。

伝統的家屋


叶津番所(県指定重要文化財)
厩中門造り(うまやちゅうもんつくり)(曲がり屋)および一方屋(イッポーヤ)と呼ばれる2つの形態があり、現在もなお、多数存在しています。曲がり屋はウマヤの部分が母屋から曲がって突き出ていることが特徴です。イッポーヤは曲がり屋が慣習化される以前に主流の民家でした。代表的なものとして、五十嵐家や叶津番所がそれぞれ国、県指定の重要文化財として現存しています。

入会慣行

域内住民は入会慣行(地域住民によって定められたルールによる山林原野の共同利用)のもと山菜・キノコの採集、薪材の生産を行い、持続可能な形での森林資源の利用が行われています。


山菜を採る


春木山(春先に山から薪材を伐り出す)

民具類

域内の住民自らの手によって、その収集、分類整理、収蔵がなされ、国の重要有形民俗文化財の指定を受けています。

伝統工芸

つる植物、草本、樹木などの天然素材を使った編み組細工や木地工芸が残されています。特に、編み組細工は、冬季の積雪期に家内労働として行われてきました。材料には、アケビ(ミツバアケビ)、ヤマブドウなどのつる植物、ヒロロ(ミヤマカンスゲ)などの草本、クルミ(オニグルミ)、ウルシ(ヤマウルシ)などの樹木が使われます。中でもマタタビを使ったものは、全国的にも珍しく、その品質も高いです。現在も、域内住民による保存会によってその技術が継承されています。


マタタビ細工


アケビ、ヤマブドウ、ヤマウルシ、オニグルミ、ヒロロ(ミヤマカンスゲ)を使ったバッグ


木地師

伝統的食文化

地元で栽培された作物、自然から得られた天然物、そして域外から持ち込まれた保存食材といった多様な食材および多雪寒冷という気候条件が、この地域に独特の食文化を生み出してきました。
冠婚葬祭には、昆布、ゴボウ、長イモ、マイタケ、油揚げ、串魚(ウグイの串焼き)を煮込んだ「お平」が出されます。また、餅やソバも祝い事やもてなしの席の料理としてふるまわれます。
山菜・キノコ、川魚、栽培作物など地元の食材は、得られる季節が限られるために独自の保存方法、料理法が発達してきました。山菜は、乾燥や塩漬けにして年間を通じて様々な料理に使われます。中でも、乾燥ゼンマイは良質で、かつては全国のゼンマイ価格を左右するほどと言われました。川魚のウグイ(ハヤ)は、飯鮓(イズシ)とされます。初夏の産卵期に採捕し、内臓を取って塩漬けとし、その後、炊いたご飯とサンショウとともに、ササで覆いスシオケに漬け込み乳酸発酵させます。独特なにおいに漬け上がったイズシは正月のごちそうとして食されます。また、抜き取られたウグイの内臓は塩漬けされ「なっちもの」と呼ばれる塩辛にされます。
只見地域は、1年の半分ほどが雪に覆われ、農業生産が行えないため、農産物を保存する独特の方法が考案されています。その一つが、「にゅう」と呼ばれる雪室です。「だいこんにゅう」は、根雪になる前に地面を掘って藁を敷き詰め、大根を積み上げた後にスギの葉で覆い、さらにその上を藁で覆い、2mにも及ぶ積雪の下でダイコン類を保存する方法です。一方、凍てつく寒風を利用する方法もあります。ダイコンを縦半分に切って、軒先に糸で吊るし、凍結乾燥させて作るのが凍み大根です。これはダイコンに限らず、餅などでも行われ、凍餅(シンモチ)と呼ばれます。長い冬の間、家々ではもち米と麦芽を使って水飴が作られ、女性たちが集まって“あめよばれ”というお茶会が開かれます。寒の時期の水で作った水飴をなめると丈夫になるとも言われています。


お平


乾燥ゼンマイつくり(ゼンマイ揉み)の様子


ハヤの飯鮓


ダイコンニュウをつくる


あめと白菜の漬物

伝統行事と芸能

家内安全・五穀豊穣を願うサイノカミ(おんべ)、節分、講事(こうごと)などの伝統的な祭事や、五穀豊穣を願う早乙女踊り、太々神楽などの郷土芸能も各集落で継承されています。


おんべ(布沢)


団子まつり(下福井)


早乙女踊り(梁取)